■世界から注目を集めていった地中海式ダイエット
世界中に知られるようになったダイエット法が、地中海式です。
長寿効果まで研究が進んでおり、多くの人に指示されました。
注目したのは第二次世界大戦後のアメリカで、肥満のような成人病を含め、社会問題化した時代です。
国民病とまで言われていく中、地中海のクレタ島の生活が研究され始めました。
非常に長生きしている島民の生活は、決して裕福とは言えません。
食糧は粗末で栄養が足りなそうに見えますが、長生きしていくところに注目が集まったのです。
その秘密のひとつが地中海料理で、アメリカの国民に推奨されていくことになります。
地中海料理は、クレタ島など沿岸部で古くから食べられてきた料理です。
アメリカの免疫学調査の結果、さまざまな病気の発症率がアメリカと比較して極端なほど低く、ダイエットしても研究が進められています。
そのひとつが、糖質制限食も取り入れている場合であり、地中海料理をベースにするとリバウンドの可能性も低く自然に痩せられたのです。
地中海式ダイエットの特徴は、食べるものを9段階に分けているところにあります。
ピラミッドにしてあるのがポイントで、上にいくほど控えるべき食材が示してある図です。
こうしたわかりやすい指摘が、いかに米国でダイエット法として浸透させたかったかがわかります。
■毎日食べていい食品
地中海式ダイエットの図は、9段階の底辺ほど重要です。
下から二番目で食品が指示されていきますが、ここにあるのがパスタやパンで、主食となる素材が示されています。
炭水化物が中心ですが、注意しなければいけないのは、精製されたものを使うのではなく、全粒粉を使ったものにする点です。
血糖値の上昇を抑えるという意味があります。
次が野菜や豆類、きのこ類です。
新鮮な野菜を取るのが地中海式ダイエットの基本で、和食と比較しても摂取量は2倍以上に及びます。
豊富な食物繊維を摂取し、抗酸化物質も豊富に摂取していくため、身体を活性酸素から守ってくれる大事な食品群です。
4段目にくるのが味付けです。
地中海式ダイエットの肝といえるオリーブオイルで、健康効果を生かすのが大事になります。
オレイン酸を使ったオリーブオイルは、コレステロールを下げることで知られるようになりました。
酸化しにくい特性を持っており、加熱しても変化が低い油です。
それだけに、高品質なものを取るようにしなければいけません。
ここで品質の低いものを摂取すれば、せっかくの地中海式ダイエットも効果を発揮できなくなるからです。
チーズやヨーグルトがその上の段にありますが、だんだんと摂取量は下げていく必要が出てきます。
特にこの段に表されている乳製品は、カロリーも高いため、ダイエットでは減らした方が良いでしょう。
■週に数回にしなければいけない食品群
地中海式ダイエットのピラミッドは、色分けもされています。
パスタやオリーブオイルは、毎日摂取してもいいとされていますが、次の団からは週に数回にするべきとしているエリアです。
魚、鶏肉、卵、お菓子と並んでいきますが、特別に食べてはいけないと制限されているわけではなく、摂取回数を下げるべきとしています。
肉類のほうが上段になりますが、魚介類を中心にして脂肪を燃焼させるのが大切です。
ケーキなどのお菓子も、食べてはいけないわけではなく、できるだけ抑えていきましょう。
甘いものが食べたいと思ったら、果物に置き換えてしまえば、毎日食べても問題はありません。
砂糖のような甘さが必要なときは、ハチミツに置き換えます。
牛肉が頂点ですが、お菓子類と同様に、特別な時に食べるものとしておきます。
毎日食べたりするのではなく、いろいろなものに置き換えていきましょう。
ほかのものでもいえますが、制限が少ないからと言って、食べ続けていいというわけではありません。
ダイエットとして考えれば、ピラミッドの構成を守りながら、量はほどほどに抑える必要があります。
実はお酒も禁止ではありません。
ワインならグラス2杯程度までOKです。
その代り、水は1日2リッター程度の摂取を考えていきましょう。
■日々の身体運動がカギを握る
一見すると、地中海式ダイエットは、制限も少なく、実践しやすい内容です。
健康な食事を考えていくという面では、日本人にも無理なくおこなえるでしょう。
問題は、ピラミッドの一番底辺です。
ここにあるのは、日々の身体運動と書かれています。
これと言ってカロリー制限もありませんし、食べるものを考えればいいと勘違いされますが、それは地中海式ダイエットの解釈の間違いです。
こうした健康的な食事に改めながら、日々の生活の中で運動を取り入れなさいというのが、地中海式ダイエットの本質といえます。
特別な運動というわけではなく、通勤時に歩くのを意識したり、自転車に乗って移動したり身体を動かさなければいけません。
家事などでもいいでしょう。
日々の中で意識的に体を動かすというのが、最も必要とされているのですから、生活のリズムも考えてダイエットに取り組まなければいけません。